家族全員が感染しても、無症状かごく軽症で済めばいい。それでも、生活は相当制限されてしまいます。小さい子どもがいる場合は、より困難を伴うでしょう。
同居家族が新型コロナに感染した時の対処法について、最初にすべきことは?そして家族が感染した家庭の体験談を紹介しています。
同居家族が感染した時重症化リスクが低い人ひとりが看病する。
専門家全員が口にしたのが、
● 感染者と非感染者が極力接触しないようにする。看病する人はひとりに限定する。
● 感染者と接する時は、どちらもマスクを着ける
● 感染者、非感染者ともに流水と石鹸でこまめに手を洗い、消毒用アルコールで手指を消毒する
以上3点を徹底することなんです。
看病する人は感染のリスクが高くなります。重症化リスクが比較的低い人ひとりが看病する。
重症化しやすいのは、65歳以上の高齢者・慢性閉塞性肺疾患・糖尿病・脂質異常症・高血圧症・慢性腎臓病・悪性腫瘍・肥満・喫煙・免疫抑制の重症化リスク因子を持つ人。
看病する側はこれらに該当せず、2回目のワクチン接種を終えて2週間が過ぎた成人が理想的なんです。
家族に感染者が出た場合、最初にやるのは過ごす空間を分けることが大事なんです。
感染者は個室が原則で、無症状や軽症でも同じ扱いなんです。トイレに近く、かつ対角線上に窓があるなど、換気しやすい部屋であればなおグットなんです。
しかし、狭い家の状況で理想論を語っても仕方がないんです。
東京都医師会副会長で感染症担当を務める角田外科消化器科医院の角田徹院長は、次のようにアドバイスしてくれたんです。
狭い家の状況での仕切りや清掃と換気をこまめに
新型コロナは、飛沫感染が7~8割を占めると言われています。少なくとも2メートルの距離をあけ、仕切りやカーテンでエリアを区切り、感染リスクを減らします。
トイレや風呂、洗面所といった共用部分は清掃と換気をこまめに行う。
ドアノブ、照明のスイッチ、洗面台、トイレのレバーなどよく触れる場所は1日1~2回消毒する。
ドアノブやレバーは家庭用洗剤を100倍希釈したもの、トイレや浴室は住居用洗剤で拭き掃除をする。
感染者は個室を出たら、手洗いとアルコール消毒を徹底する。風呂は最後に入り、浴室をシャワーで流して換気をする。
とは言っても清掃や消毒は大切ですが、過度に神経質にならなくていいです。それより、換気を十分に行うべきなんです。
お家の換気対策
対角線上の窓を開ける
対角線上にある窓を大きく開けるのが基本だが、なければ換気扇を回す。
これから肌寒くなってくるが、国際医療福祉大学熱海病院の〆谷直人・臨床検査科検査部長は「24時間換気システムや換気扇で室温を大きく変動させることなく換気を行えます」と話しているんです。
加湿空気清浄機をエアコンの向かい側に設置して、天井に向けて風を送るようにしたり、床暖房の併用、エアコンの湿度を上げることでも寒さを感じにくくなるんです。
電気代を気にする方は、室内機から遠い窓を開けて換気を行う方法もあるんです。
それでも看病する人には感染のリスクがつきまとう
部屋に入る時は、接触感染を防ぐために、手袋をはめます。手袋はビニール製のもので、使い捨てタイプを使用してください。
着替えの順番も大事
基本装備は不織布のマスク・手袋・ゴーグル。
専用のかっぽう着も欲しいですが、なければビニール製のカッパか、大きなポリ袋を切って貫頭衣のようにしてもいいんです。
部屋から出たら、手袋・マスクはポリ袋に入れて密閉して捨てる。
ポリ袋の服は使い捨てにする。部屋の入り口にゴーグルやかっぽう着をかける専用の場所を作り、看病する人以外は触れないようにする。
感染者の衣服を扱う時は手袋とマスクをつけ、家庭用洗剤で洗濯して完全に乾かす。
在宅医療で介護者が感染リスクを減らす方法
身にまとう手順にも念を入れる。
手袋は2枚使う。1枚目の手袋をはめてからかっぽう着を着用。そして2枚目の手袋をはめ、感染者の部屋に入る。
部屋の外にはゴミ袋を用意しておき、縁を外側に折り曲げておく。
部屋から出たら2枚目の手袋を捨て、1枚目の手袋をはめたままかっぽう着を脱ぎ、裏返しにして部屋の外にかける。
最後に1枚目の手袋を取ってゴミ箱に捨てる。
ゴミ袋の口を縛る時は、折り曲げておいた袋の縁の内側に指を入れれば、ウイルスが手につくリスクを減らせます。
この時も、手袋、マスクを着用するのを忘れずに!
これらは在宅医療で介護者が感染リスクを減らす方法なんです。
看病の度に、手洗い・手指の消毒・うがいも徹底する。感染者の経過を記録することも大切なんです。
1日2~3回、体温やパルスオキシメーターで測定した血液中の酸素飽和度・脈拍数・症状・食事の量・飲んだ市販薬、気づいたことや気になったことを、時系列が分かるようにノートに書きとめて置いた方が良いです。
保健所や、在宅訪問をしている医療機関に病状を報告するときに、この記録が役に立つんです。
コロナ感染で保健所や病院では何を聞かれる?
保健所や病院によるかもしれませんが、おおよそ下記の確認があるようです。
●発熱、咳症状の有無
●基礎疾患の有無、妊娠の有無
●発症前2週間の行動歴
●同居者、接触者の有無
診察を受けているときに思い出すのはなかなか難しいものです。
明日罹患して病院に行くかもしれない、と思って日ごろから行動歴をつけておくと便利なんです。
家を出る前に熱を測り、直近2週間の行動をまとめてから診察にいくようにしましょう。
コロナ陽性反応が出たら仕事はどうなる?
陽性反応が出たときに仕事はどうしたらいいでしょうか?
まず、職場に確定の連絡をしましょう。
診断で新型コロナウイルス感染症の陽性が確定したら、保健所の指示に従います。法的入院か、就業制限などの説明があります。
あわせて、職場に連絡を入れます。
新型コロナは指定感染症として定められたため、治癒するまでは就業できないんです。
感染が確認された場合は、感染症法に基づいて、都道府県知事から就業制限や入院勧告がされるんです。
まずは安静に治療に専念するんです。
例えば陽性反応が出たものの、症状が軽く在宅勤務で仕事ができる場合は?
この場合は自宅待機中に在宅で仕事をすることが可能なので、業務をしてる分の賃金は通常通り受けとれます。
コロナ感染予防の理想と現実は違います
コロナ感染予防の理想と現実は違います。
小さいお子さんであれば、マスクをずっとつけておくのも難しいでしょうし、部屋にひとりで置いておくわけにもいきません。
抱っこしたり、顔と顔を近づけたりするのも、回数は減らせてもゼロにはできない。
故に親が感染リスクを覚悟して、子どもと接するしかない現状だと思うんです。
共倒れにならない
シングルマザーやファーザーでなければ、両親のどちらかが看病にあたる。
共倒れにならないよう、看病する人も、ほかの家族と接触する機会は減らした方がいい。
それでも、親のどちらかが感染してしまったら?
子どもを含む感染していない家族と接触をしない。シングルマザーやファーザーだとそうも言っていられませんが……。
ただ、幸いなことに子どもは感染しても、無症状か軽症ですむと言われています。
家族がコロナ感染した時の体験談
家族の体験談を紹介します。
千葉県船橋市に住む50代の体験談
千葉県船橋市に住む50代の女性は、大学生の息子と高校生の娘との3人暮らし。
今年5月、最初に息子が発熱し、PCR検査で陽性になった。女性と娘にも感染し、全員が自宅療養になった。
幸いなことに、3人ともほぼ無症状だった。外出できないことを除いては、通常と変わらない生活を送った。
「3人でビデオを見たりゲームをしたり。むしろ久しぶりの“密”な親子の時間でした」(女性)
大阪市に住む女性の体験談
「急に症状が悪化すると耳にするので、子どもたちが重症化しないかすごく不安です」
大阪市に住む女性は心境を語ってくれたんです。
8月下旬、発熱した小学3年の次女(8)が陽性になった。夫(31)と小学4年の長女(9)との4人暮らし。
次女は別の児童から感染したと見られるが、それまで同じ部屋で寝ていたのをやめた。
次女は小児喘息(ぜんそく)の持病がある。いつ血液中の酸素濃度が下がり、呼吸困難に陥るか分からない。
それなのに、保健所からは診断後3日経っても連絡が来ず、自宅療養かホテルに行くのかも分からない。そうしているうち、長女が発熱し、陽性が判明した。
自宅療養では家庭内感染のリスクが高まる。大阪市の夫婦もいまは陰性だが、「いつ感染してもおかしくない」という。
息子が感染しましたが、感染前から、窓をすべて開けて冷房していました。
換気扇は、一日中稼働してました。感染後の息子の徹底ぶりがすごく、入浴しない。
トイレは、夜中の2、3時ごろと、昼に一度だけ。
洗濯物や、ゴミも部屋から出さない。
食事は全て使い捨て容器で対応しました。皿は食品のトレイや、豆腐の容器など使いました。食事やペットボトルの水やお茶も部屋の扉の前に置きました。
身体を拭く紙のタオルも置きました。母親の私に疾患があるので、特に徹底したのだと思います。
その気持ちを酌んで、息子には何も言わずに任せました。
私は介護の仕事をしていましたので、利用者さんが何ヶ月も、何年も入浴しない人を見てきてるので、結構平気でした。
いつか私も罹患するとは思いますが、罹患してもすぐに対応して頂ける経口薬が広まればいいですね。
AERA 2021年9月20日号より一部抜粋。
同居家族が新型コロナに感染した時の対処法で最初にすべきことまとめ
感染者と非感染者が極力接触しないようにする。看病する人はひとりに限定する。
感染者と接する時は、どちらもマスクを着ける
感染者、非感染者ともに流水と石鹸でこまめに手を洗い、消毒用アルコールで手指を消毒する
以上3点を徹底することなんです。
保健所や病院によるかもしれませんが、おおよそ下記の確認があるようです。
●発熱、咳症状の有無
●基礎疾患の有無、妊娠の有無
●発症前2週間の行動歴
●同居者、接触者の有無
1日2~3回、体温やパルスオキシメーターで測定した血液中の酸素飽和度・脈拍数・症状・食事の量・飲んだ市販薬、気づいたことや気になったことを、時系列が分かるようにノートに書きとめて置いた方が良いです。
診察を受けているときに思い出すのはなかなか難しいものです。
明日罹患して病院に行くかもしれない、と思って日ごろから行動歴をつけておくと便利なんです。
家を出る前に熱を測り、直近2週間の行動をまとめてから診察にいくようにしましょう。