検査の陽性者を感染者としてとらえ、報道されていることがほとんどで、これはとても重大な問題です。
私の結論から申し上げると、「検査の陽性者」=「感染者」ではありません。
この私とは、ウイルス学研究者である本間真二郎医師で、2001年より3年間、NIH(アメリカ国立衛生研究所)にてウイルス学、ワクチン学の研究に携わる方なんです。
その方のブログにおもしろい記事があったので紹介します。
報道機関をはじめ、医師や専門家がこのことを指摘しないことはそれ以上に問題といっていいでしょう。
では、そもそも「検査陽性」とはどのような状態かをまず考えてみましょう。
新型コロナウイルス感染症(CОVID-19)では、ほぼすべての国での検査はPCR検査によるものがほとんどですので、ここでは「PCR検査で陽性となった」ことの意味から説明します。
コロナPCR検査でわかるのはウイルスが「いる」か「いないか」だけ
PCR検査での陽性とは、PCR検査で新型コロナウイルスが検出されたことを意味するんです。
PCR法は何を検出しているのかというと、ウイルス遺伝子(新型コロナウイルスRNA)の断片になります。
ウイルス遺伝子の断片が見つかったということは、「ウイルスが今いる」、あるいは、「少し前にいた痕跡がある」ということなんです。
つまり、ウイルスの断片が残っていれば陽性になるということです。
そのうえでウイルスの状態が、どうなのかまではわかりません。
ここがポイントなんです。
コロナPCR検査で確定できない5個の例題
コロナPCR検査で確定できないことはいくつもあるんです。その例を5個示します。
1.「ウイルスが生きているか」?「死んでいるか」?もわからない。
ウイルスは「生物」ではないという考え方もあり、正式には「活性がある」との意味ですが、この記事では一般にわかりやすいように「生きている」と表現します。
PCR検査では、ウイルスが生きていなくてもウイルス遺伝子の一部が残っていれば陽性になります。
2.「ウイルスが細胞に感染しているかどうか」もわからない。
PCR検査では、細胞に感染する前のただ体内に「いる」段階でも陽性になりますし、感染し細胞に侵入したあとのいずれの場合でも陽性になります。
3.「感染した人が発症しているかどうか」もわからない。
PCR検査では、発症していてもしていなくても、ウイルス遺伝子の一部が残っていれば、ウイルスはいることになるので検査は陽性になります。
4.「陽性者が他人に感染させるかどうか」もわからない。
たとえば、体内のウイルスが死んでおり、断片だけが残っている場合は他人に移すことはありません。
また、ウイルスが生きていても、その数が少なければ人にうつすことはできません。
通常ウイルスが感染するためには、数百~数万以上のウイルス量が必要になります。
しかし、PCR法は遺伝子を数百万~数億倍に増幅して調べる検査法なので、極端な話、体内に1個~数個のウイルスしかいない場合でも陽性になる場合があります。
5.ウイルスが「今、いるのか」「少し前にいた」のかも、わからない。
一度感染すると、ウイルスの断片は鼻咽頭からは1~2週間、便からは1~2か月も検出されることがあります。これらはあくまで遺伝子の断片です。
コロナ感染とは生きたウイルスが細胞内に入ることで発症とは別
いっぽうで、「ウイルスに感染している」とは、どのような状態かというと、感染しているとは、通常(生きた)ウイルスが細胞内に入ることを意味します。
新型コロナウイルスは多くの場合気道から感染
気道に生きたウイルスがいても、粘膜や粘液、さらにはウイルスを排出する気道細胞のブラシのような異物を排除する作用などが強ければ、排除され感染に至りません。
これらは重要な自然免疫の作用の一つです。補足すると、自然免疫にはさらに白血球などの細胞が関係する免疫もあるんです。
また、生きたウイルスが細胞内に入り、「感染」したとしても、その後に症状が出るかどうかはわからないんです。
細胞内に侵入しても、細胞の自浄作用などでウイルスの増殖を阻止する場合もあるんです。
また、感染細胞が少ない場合も症状としては出ません。これらの場合は発症しないことになります。
一般には、感染したが症状が出ない場合を「不顕性感染」、感染して症状が出る場合を「顕性感染」と言われています。
不顕性感染という言葉はよく使われますが、新型コロナウイルスでは、「ウイルスが気道にいるが感染する前の状態」と「感染してからも症状が出ない状態」の両方を不顕性感染とひとくくりにして使われていると思われます。
理由は、これらの違いを区別できないからです。
不顕性感染では、通常症状が出ないまま(主に自然免疫系の働きで)治っていると考えられます。
通常の感染症の場合、症状が出ない場合は感染しているかどうかわからない訳ですから、病院の受診も検査も薬の服用もしないことになります。
コロナ発症とは、症状を認める状態
それに対して、顕性感染は感染し症状を認める状態ですので、通常の感染症の場合、感染とはこの状態を指すことになるんです。
この状態で病院を受診し検査を受けてはじめて「感染している」といわれるのです。
では、新型コロナウイルス感染症の「発症」とはどのような状態でしょうか。
新型コロナウイルス感染症が発症するとは、「病気として症状を認めること」をいいます。
当然ですが発症している人が、感染した患者さんとなります。
ウイルスに体内の細胞内に侵入(=感染)されてしまうと、隠れてしまったような状態となり、通常免疫系はウイルスを見つけることができずにウイルスを排除できません。
この感染してから症状を認めるまでの期間を潜伏期といいますが、この間は症状が出ないのです。
症状が出る時とは、ウイルスが細胞内で増殖し感染細胞を破壊するか、血液などを介して全身に広がることにより生じます。
検査陽性者を感染者とすることが問題になる理由
さて、検査の陽性者を「感染者」とすることが、なぜ問題になるのかの解説していきます。
一般的な風邪を例にして説明します。
風邪とは、もちろん風邪の原因となるウイルスの感染により起こる病気です。
寒い冬に、素っ裸で布団もかぶらずに寝てしまったら、よほど強靭な人でなければ、間違いなく風邪をひきます。
では、冬に裸で寝たときだけ「偶然に」「運悪く」風邪のウイルスをもらっているのでしょうか?
そうではなく風邪のウイルスには、裸で寝ようが普通に寝ようが、私たちは普段から常に接触しているのです。
つまり、常にウイルスは気道上(のどや鼻)に「いる」のです。
しかし、正常な免疫力がある場合には、風邪のウイルスに感染せずに発症もしないんです。
風邪にかかったのは、冷えなどで免疫力が低下したことによるのです。
つまり、通常の免疫力がある場合は気道にウイルスがいても全く発症しないんです。
もし、ウイルスが「いる」状態(PCR検査陽性)を感染=病気としたら、風邪の場合は国民のほぼ全員が感染している、つまり風邪をひいているということになるんです。
つまり「検査陽性=ウイルスがいる」ことだけでは「感染」といってはいけないんです。
ウイルスをもらっても感染しなければ何も問題はない
私たちは身の回りに存在する微生物と常に接触しているわけですから、ウイルスをもらっても(ウイルスがいても)感染しなければ何も問題はありません。
感染しても発症しなければいいです。そしてたとえ発症しても、重症化しなければいいです。
補足ですが、これらを決めているのは、ウイルス自体ではなくウイルスをもらった側の免疫力であることも大切な部分なんです。
現在の日本では、「検査陽性数」=「感染者数」であり、ときには「感染者数=発症数=患者数」としてひとくくりにされている場合が見られます。
ここは今こそ明確に区別して伝える段階にあるのではないでしょうか。
ただし誤解のないように申し添えると、PCR検査に問題があるといっているわけではないです。
PCR法は一般にはウイルスをもれなく見つける精度はとても高い検査になります。
コロナPCR検査で陽性者=感染者ではなかったまとめ
PCR検査での陽性とは、PCR検査で新型コロナウイルスが検出されたことを意味するんです。
PCR法は何を検出しているのかというと、ウイルス遺伝子(新型コロナウイルスRNA)の断片になります。
ウイルス遺伝子の断片が見つかったということは、「ウイルスが今いる」、あるいは、「少し前にいた痕跡がある」ということなんです。
つまり、ウイルスの断片が残っていれば陽性になるということです。
コロナPCR検査でわかるのは、ウイルスが「いる」か「いないか」だけで、「いる」だけではあくまで陽性者だけであって、発症するまでは感染者でないことが分かったんです。
日本での感染者数が1日で1万人を超える報道があるんですが、実際はそれよりも少ないかも知れないんです。
変異ウイルスが流行する前は、ウイルスをもらった人の免疫力がとても重要で、低下してる人ほど感染しやすいとの事で、高齢者ほど重症化しやすいんです。
でも最近は変異ウイルスが流行した事で、若者が感染しやすい状況なんです。
若い人ほど免疫力はつよいと思われるんですが、分かりません。
若い人ほど副作用がこわくて、ワクチン接種を拒否する人が入るようなんですが、まちがいなんです。
集団免疫を作ることで、マスクをしない生活に戻れるんです。